無痛分娩に決めた!でも、どうやって良い病院を探したら良いの??

このコラムを一言で説明
後悔しない病院選び!安全な無痛分娩を支える「二本柱」の体制とは?

無痛分娩に決めた後、次に直面するのが「病院選び」の悩みです。実は、安全で質の高い無痛分娩には、産科医(お産管理のプロ)と麻酔科医(痛み管理のプロ)が連携する「二本柱」のチーム体制が欠かせません。24時間対応の可否や症例数など、パンフレットだけでは見えにくいチェックポイントを専門医の視点で徹底解説。あなたと赤ちゃんを守るための「正しい見極め方」を、対話形式で分かりやすくお届けします。

ママと先生の対話:無痛分娩、どこで産むのがいい?

無痛分娩という選択をしたとき、多くのママが最初にぶつかる壁が「どこで産むか」という問題です。
近年、無痛分娩に対応する施設は増えていますが、実はその「体制」や「安全性への考え方」は病院によって千差万別。中には、夜間や休日は対応できなかったり、担当医が一人で何役もこなしていたりするケースも少なくありません。
「痛みを取りたい」という願いを「安全」という土台の上で叶えるために、私たちは何を基準に選べばよいのでしょうか。アメリカと日本、両方の医療現場を知る麻酔科医・永井先生が、ママの素朴な疑問に答えます。

ママ

先生! 私、無痛分娩に決めました!
でも…どんな病院を選べばいいのか、正直ぜんぜん分からなくて。

医師(Dr.永井)

自分でしっかりと決めたんだね。素晴らしいね。
無痛分娩は、ただ「痛みを取るため」じゃなくて、お産を安心して迎えるための選択でもあるんだ。
だからこそ、「どこでやるか」はとても大事なんだよ。

ママ

そうなんですね…。何を基準に選べばいいんでしょう?

医師(Dr.永井)

いちばん大事なのは、産科医と麻酔科医の二本柱。この二つの専門がしっかり連携してこそ、安全で質の高い無痛分娩ができるんだ。
産科医はお産管理のプロ。陣痛の進行、赤ちゃんの状態、分娩の全体を見ながら安全に導く専門家。
一方で麻酔科医は痛み管理のプロ
痛みを和らげながら、母体の血圧や呼吸を安定させ、無痛分娩を安全に継続させるためのスペシャリストなんだ。
それぞれが得意分野を活かし合うからこそ、“お産の安心”と“痛みの安全”の両立ができるんだよ。それにね、歴史的に見ても、これまで日本の出産医療を支えてきたのは、まさに産科医の先生方なんだ。
昼夜問わずお産に立ち会い、帝王切開も、無痛分娩も、身を粉にして取り組んできた。
だから今、麻酔科医がチームとして関わるのも、その積み重ねの上に成り立っているんだ。
産科医へのリスペクトを忘れてはいけないし、この“二本柱”の協力こそが、母と赤ちゃんを守る力になるんだ。

ママ

そうだったんですね…。
じゃあ、病院を選ぶときはそのチームの関係性も大事なんですね。

医師(Dr.永井)

そう。
麻酔科医が常勤していて、24時間対応できるかどうかもポイントなんだ。
麻酔科医がいない時間帯に陣痛が来ると、
せっかく希望しても無痛分娩ができないこともあるんだ。

ママ

えっ、そうなんですか?
でも、もし麻酔科医か産科医のどちらかが24時間いれば大丈夫なんじゃないですか?

医師(Dr.永井)

うん、そう思うよね。
でも実は、「どちらかがいる」だけでは完全に安全とは言えないんだ。
例えば、夜間に産科医が別のお産で呼ばれていた場合、
もし一人しかいなければ、無痛分娩のマネージメントをする人がいない、
あるいは手薄になってしまうことがある。
無痛分娩はお産と麻酔、両方を同時に管理する必要があるから、
どちらか一方の手が離れると質と安全性が下がってしまうんだよ。

ママ

なるほど…。
確かに、お産って同時に何人も進むこともありますもんね。

医師(Dr.永井)

そう。
産科医は赤ちゃんと陣痛の進み具合を見ながら、麻酔科医は薬の量、血圧、呼吸などを細かく調整する。
それぞれが役割を全うすることで初めて、
安心で安全な無痛分娩が成り立つんだ。

ママ

もし麻酔科医がいない夜に陣痛が始まったらどうなるんですか?

医師(Dr.永井)

その場合、「今日は無痛できません」と言われてしまうこともあるし、無理に対応すると、副作用への対応が遅れることもある。
可能性は本当に少ないけれど、重大な合併症が起きてしまうこともある。
これは、人間がやることだから、残念ながらゼロにはできない。
だからこそ、安全性を強固にするシステムで対応するんだ。
「もしも」を想定して動き、チームで素早く対応できるよう、日頃から訓練を積んでおくんだよ。

ママ

…なるほど。そこまで準備してるんですね。なんだか、安心しました。

医師(Dr.永井)

そう。安全って「起きないことを祈る」だけじゃなくて、「もし起きたとき、どう動くか」で守られているんだ。

ママ

でも、現実的にそんな病院ばかりじゃないですよね?

医師(Dr.永井)

その通り。全国でも「麻酔科医が24時間常駐」している施設は限られているんだ。
だから、現実的な目安としては、

  • 麻酔科医が主導し、産科とチームで連携している
  • 夜間でも麻酔科医を呼べる「オンコール体制」がある
    この2つがそろっていれば、かなり安心できるよ。
ママ

じゃあ、「産科医が麻酔も担当してる病院」はどうなんですか?

医師(Dr.永井)

それもケースバイケースだね。
産科医がしっかり麻酔の研修を受けていて、緊急時に麻酔科医のサポートが得られるなら安全なこともある。
ただ、分娩や帝王切開が重なると、麻酔の調整に専念できなくなることもあるんだ。
だからやっぱり、産科+麻酔科の二本柱のチーム体制が理想だね。
そしてもうひとつ大切なのが、「症例数(件数)」なんだ。
安全性と質の高さを維持するには、一定数の無痛分娩の実績が必要なんだよ。
ある程度の件数があると、チーム全体が経験を共有できて、判断も早く、合併症への対応力も上がる。
つまり、経験がチームのパフォーマンスを支えるんだ。

ママ

なるほど…。
無痛分娩って「痛みを取る技術」よりも、
「チームで支える仕組み」と「経験の積み重ね」が大事なんですね。

医師(Dr.永井)

その通り。パンフレットや口コミだけじゃ分からない部分だから、できれば説明会や見学に行って、
スタッフの雰囲気や話しやすさを自分で感じてみるといいよ。
信頼関係は、麻酔と同じくらい大事なんだ。

ママ

確かに…安心して話せる場所がいいな。
じゃあ最後に、選ぶときのポイントを教えてもらえますか?

医師(Dr.永井)

もちろん。これがチェックリストだよ。

無痛分娩対応の病院を選ぶ際の見るべきチェックポイント

観点 チェック項目
チーム体制 産科医と麻酔科医の二本柱が連携している
麻酔体制 麻酔科医が常勤で24h対応 or オンコール体制がある
症例数 一定数以上の無痛分娩実績がある
麻酔方法 硬膜外麻酔を使用
タイミング・
鎮痛具合
ママの望む時に(オンデマンド)。
どこまでとるか(和痛・無痛・完全無痛)
安全対策 緊急時対応・大学病院との連携
信頼関係 説明が丁寧で相談しやすい
ママ

すごく分かりやすいです!
“どんな人たちが、どんな体制と経験で支えてくれるか”を見て選ぶんですね。

医師(Dr.永井)

うん。無痛分娩は「痛みをなくすための選択」じゃなくて、「安心してお産を迎えるための選択」だからね。
そしてその裏には、産科医と麻酔科医、どちらの努力と献身もあることを忘れないでほしいな。
焦らず、自分と赤ちゃんに合った場所を見つけよう。

おわりに:信頼できるチームを見つけるために

病院選びで大切なのは、数字や設備といったデータだけでなく、その裏側にある「安全への姿勢」です。
万が一のトラブルが起きたとき、誰が、どのように動くのか。それをオープンに語り、真摯に説明してくれる病院こそが、本当に信頼できる施設といえます。今回ご紹介したチェックリストを活用しながら、まずは気になる病院の説明会に足を運んでみてください。
産科医と麻酔科医、そして助産師たちが一つのチームとなってあなたを支えてくれる。そんな場所が見つかれば、出産への不安はきっと大きな安心へと変わるはずです。

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プロフィール

Profile

永井 遼太郎NAGAI RYOTARO

M.D. 麻酔科医

経歴

  • 獨協医科大学 卒業
  • アメリカ医師国家試験(USMLE)合格
  • 帝京大学麻酔科 入局
  • Maimonides Medical Centerにて
    アメリカ式の麻酔科研修を4年間受ける

資格

  • アメリカ麻酔科専門医

獨協医科大学を卒業し、故郷の千葉で初期研修を受ける。

ニューヨーク州ブルックリンにある、Maimonides Medical Centerにてアメリカ式の麻酔科研修を4年間行う。

その際、人生で初めて無痛分娩に触れ、快適に分娩が出来るという素晴らしさを知る。

当時2016年、日本とアメリカでは、無痛分娩率に10倍以上の差があるという事実を知り、衝撃を受け、今の自分に出来ることはないかと思い、2021年より、インスタグラムにて無痛分娩に関する投稿、オンライン講演を開始。

2024年からはさらに活動を本格的にするため、Youtubeチャネル『無痛分娩ビレッジ』をスタート。

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